「東証(JPX)が公開しているデータって、実は個人でも自由に使えるんです。」——このシリーズは、 IT業界で20年以上システムエンジニアをしてきた筆者が、株式投資の判断材料としてJPX・日証金の公開データをPythonで自動取得し、 自分専用の監視ツールを自作してきた記録です。信用残・売禁・上場廃止という異なるテーマで、 それぞれ試行錯誤しながら「収集→蓄積→可視化→自動運用」までを組み上げた過程を、失敗談も含めてそのまま公開しています。 これらはすべて、株式データを継続的に収集・蓄積して分析するための仕組みです。

ツール一覧(早見表)

目的のツール・記事にすぐ行きたい方はこちらからどうぞ。

ツール名概要開発開始記事数開発記録
📊信用残ウォッチ 信用取引残高の推移から需給シグナルを可視化 2026年5月 5記事 開発記録を見る
🚨売禁ウォッチ 売禁・増担保規制銘柄を一覧化 2026年5月 4記事 開発記録を見る
📋上場廃止ウォッチ 上場維持基準「改善期間」該当銘柄を自動追跡 2026年4月 2記事 開発記録を見る

なぜ東証データの自作分析を始めたか

きっかけは単純で、既存の株式情報サービスの多くが「今の状態」しか見せてくれないことに不満を感じたからです。 信用残であれば残高の推移、売禁であれば規制がいつから続いているか、上場廃止であれば改善期間に入ってからどう動いているか—— こうした「時系列の積み重ね」を自分の見たい形で確認したいと思ったとき、既製のツールでは痒いところに手が届きませんでした。

そこで「JPXが公開しているデータを自分でPythonで取りに行き、自分でDBのように蓄積し、自分の見たい形でHTML化する」という方針で、 少しずつツールを作ってきました。エンジニアとしての実務経験はあっても、株式データの扱いや金融系のスクレイピングは未経験からのスタートだったので、 各シリーズには実際にハマった箇所・仕様変更に振り回された箇所もそのまま記録しています。

ツールに共通する設計思想

信用残・売禁・上場廃止、着目するデータは違っても、次の4ステップという同じ骨格で作っています。

共通する開発フロー

① データ収集   : JPX/日証金のページから自動ダウンロード・スクレイピング
② 履歴蓄積     : PKL(pickle)で日々のデータを追記・蓄積
③ 可視化       : JavaScriptでシグナル計算・HTMLダッシュボード化
④ 自動運用     : タスクスケジューラ+batファイルでFTPアップロードまで自動化

この型を最初の信用残ウォッチで確立し、売禁ウォッチ・上場廃止ウォッチでは同じ設計を流用しつつ、 データソースごとの癖(Excelの列がずれる、差分検出のロジックが通用しない等)に合わせて都度作り変えています。 同じ土台を使い回している分、以降のツールの方が開発スピードは上がっている実感があります。

信用残ウォッチ|需給シグナルを見える化

JPXが公開する個別銘柄信用取引残高データを毎日自動取得し、 踏み上げ候補や需給悪化警戒などのシグナルを自動計算してダッシュボード化しました。 全5回にわたって、データ収集の基礎から完全自動化までを段階的に記録しています。

公開日記事タイトル概要
2026-07-04①JPX信用残データをPythonで自動収集・PKL蓄積までJPX公開の個別銘柄信用取引残高データをPythonで自動取得・蓄積する仕組みを解説。
2026-07-06②batとタスクスケジューラで完全自動化・CSV変換までbatファイルとタスクスケジューラを使い毎日自動実行する仕組みを解説。
2026-07-10③需給シグナルの計算ロジックとHTMLダッシュボード構築踏み上げ候補・需給悪化警戒シグナルの自動計算とHTMLダッシュボード構築を解説。
2026-07-12④銘柄詳細モーダル実装とTradingView埋め込み断念の記録銘柄詳細モーダルの実装とTradingView埋め込み断念の記録。
2026-07-14⑤ftplibでFTP自動アップロード・タスクスケジューラで公開まで完全自動化ftplibで公開サーバーへ自動アップロードし、収集から公開までを完全自動化。

売禁ウォッチ|売禁・増担保銘柄を監視

信用残ウォッチで確立した型をベースに、日本証券金融(日証金)の貸借取引情報とJPXという2つのデータソースをマージする必要があったシリーズです。 差分検出ロジックが原因で「新規」ばかりになってしまうバグに直面するなど、1本目とは違う種類の壁にぶつかりました。 フィルタ機能やスマホ対応など、フロントエンド側の作り込みもこのシリーズで深めています。

公開日記事タイトル概要
2026-06-21①日証金×JPXデータ取得とマージ設計個人開発で売禁・増担保規制銘柄モニターサイトを作った実践記録。データ取得からマージ処理までの設計を解説。
2026-06-25②差分検出ロジックと「新規だらけ」バグの解決実録「新規」ばかりになるバグの原因を特定し、処理日ベースの差分検出ロジックに作り直した実践記録。
2026-06-28③フィルタ独立化とスマホ対応のフロントエンド設計3系統のフィルタを互いに干渉させない設計と、スマホ対応の実装を解説。
2026-07-01④FTPアップロード自動化とタスクスケジューラ運用設計ftplibによる自動アップロードと、タスクスケジューラでの毎日自動実行の仕組みを解説。

上場廃止ウォッチ|改善期間銘柄を追跡

東証の上場維持基準「改善期間該当銘柄」に該当する銘柄を自動監視するツールです。JPXが公開するExcelのURLが毎週変わる問題や、 スナップショット方式では差分が正しく取れないという課題に直面し、信用残・売禁とはさらに違うデータの癖に向き合うことになりました。

公開日記事タイトル概要
2026-07-17①JPX改善期間銘柄のExcel自動取得東証の改善期間該当銘柄を自動監視するサイトを個人開発した実践記録。Excel URLの動的取得とヘッダー行自動検出の設計を解説。
2026-07-19②差分が取れない問題とPKL蓄積式DB化で解決した実録差分が正しく取れない問題をPKLによる累積DB方式で解決した実践記録。

今後の展望

また、信用残・売禁・上場廃止以外にも、東証が公開しているデータで気になっているものがいくつかあるので、条件が整い次第、このシリーズにツールとして追加していくつもりです。 追加した際は、このページの一覧も更新していきます。

よくある質問

東証(JPX)のデータは個人でも自由に取得できますか?

JPXの信用残・上場廃止(改善期間)に関するデータは、JPX公式サイトの統計・レポートページで誰でも無償で閲覧・ダウンロードできます。売禁・増担保の情報は日本証券金融(日証金)が公開しています。自動取得する場合は、それぞれのサイトの利用規約や注意事項を確認したうえで利用してください。

プログラミング初心者でも同じような監視ツールは作れますか?

Pythonの基礎(変数・関数・ライブラリの使い方)が分かれば、各シリーズの①番の記事から順に読み進めることでキャッチアップできる構成にしています。最初からすべて自動化する必要はなく、まずは手元でデータを取得するところから始めるのがおすすめです。

なぜ複数の監視ツールを別々に作っているのですか?

信用残・売禁・上場廃止は、それぞれ着目したい投資判断のタイミングやデータソースが異なるため、あえて1つの巨大なツールにまとめず、目的別に独立したツールとして開発しています。共通しているのは「JPX系データを自動取得し、履歴として蓄積し、見やすく可視化する」という設計思想です。