今回の分析の背景
前シリーズ記事(000:まとめ記事)で「分析はこれから」と書いていたのですが、 ようやくある程度データが蓄積できてきたので、実際にExcelの解析結果シートをもとにOK・NG分析を行ってみました。
自動化ツールが毎日Excelに書き込んでくれているおかげで、1,709件分の審査データが手元にあります。 ただし、その多くは「手動削除(申請前に自分で除外したもの)」や「未審査」であり、 実際にAdobe Stockへ申請して審査を受けたのは限られた件数です。 この点を正確に理解するために、母数の定義を整理しながら分析を進めます。 最終的には、「何が原因でNGになるのか」、「品質スコアはどこまで意味があるのか」を確認したいと考えています。
分析データについて
- Excelシート「解析結果」の全1,709件を対象に集計
- 手動削除(申請前に自分で除外)・未審査は母数から除いた「実質母数」も併記
- AI-NGチェック(指NG・目NG・ロゴNG)は全件OKで、自動除外はゼロ件でした
結論は以下のようになっており、詳細はこの後記述しています。
- 実質OK率は22.2%
- NGの65%は品質問題
- 品質スコアと審査結果は一致しなかった
- 類似コンテンツが31%
データ全体のステータス内訳
まず全1,709件のステータス分布を確認します。半数近くが「手動削除」であることが目を引きます。 これはAI-NGチェックやスコアを見て申請前に自分で除外した画像で、Adobe Stockへは一切申請していません。
※手動削除は審査申請前に自分で除外した画像。Adobe Stockへの申請はしていない。
※「アドビコレクションで類似するコンテンツ」を「類似コンテンツ」と表記。
実質的なOK率・NG率(審査申請ベース)
手動削除(839件)と未審査(659件)は、そもそもAdobe Stockの審査を受けていないため、 「通過率」を語る上では母数から外すのが適切です。
実質母数 = OK(41件)+ NG(144件)+ EXAM(26件)= 211件
さらにEXAMを除いた確定審査結果だけを見ると185件となります。
※EXAMを除いた確定審査185件ベース。
NG理由の内訳
NGになった144件の理由の内訳は以下のとおりです。
| NG理由 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 品質の問題 | 94件 | 65.3% |
| アドビコレクションで類似するコンテンツ | 45件 | 31.3% |
| 知的財産権の侵害 | 5件 | 3.5% |
最も多いのは「品質の問題」で、実に3件に2件はここに分類されます。 次いで「類似するコンテンツ」が3割を占めます。これは同じようなテーマや構図の画像を まとめて申請した際に出やすい理由です。知的財産権(ロゴ・ブランド等)は5件と少なく、 AI-NGチェックで事前に弾けていない画像が一部漏れてしまっている可能性があります。
類似コンテンツNGを減らすには
似た構図・テーマの画像は一度に大量申請しないことが有効です。 バリエーションを意識して、同テーマでも照明・アングル・被写体を変えた画像を選ぶと通過率が上がると考えられます。
品質スコアとOK・NGの関係
自動計算している品質スコアがAdobe Stockの審査結果とどう対応しているかを確認します。 ステータス別の平均スコアを比較してみました。 グラフは手動削除を含む全件(各ステータス)の平均値です。
※総合スコアは÷7、CLIPスコアは÷10 して0〜1スケールに正規化して表示。他スコアはそのまま(0〜1)。
| スコア項目 | OK | NG-品質 | NG-類似 | EXAM | 手動削除 |
|---|---|---|---|---|---|
| 総合スコア | 3.59 | 4.04 | 3.75 | 3.62 | 3.50 |
| CLIPスコア | 6.33 | 6.24 | 6.42 | 6.26 | 6.28 |
| 中央シャープ | 0.414 | 0.535 | 0.444 | 0.428 | 0.409 |
| 背景適性 | 0.792 | 0.790 | 0.738 | 0.847 | 0.753 |
| ノイズスコア | 0.958 | 0.942 | 0.952 | 0.938 | 0.955 |
| コントラスト | 0.709 | 0.701 | 0.748 | 0.648 | 0.736 |
| 明るさ | 0.693 | 0.694 | 0.756 | 0.601 | 0.746 |
人物有無とステータスの関係
Excelには「人物有無」の列もあるため、人物が写っている画像と写っていない画像で結果に差があるかも確認しました。
※手動削除・未審査を含む全件。人物ありの方がすべてのステータスで多い。
| ステータス | 人物あり | 人物なし | 人物あり割合 |
|---|---|---|---|
| OK | 27 | 14 | 65.9% |
| NG | 105 | 39 | 72.9% |
| EXAM | 21 | 5 | 80.8% |
| 手動削除 | 685 | 154 | 81.6% |
| 未審査 | 610 | 49 | 92.6% |
全体的に人物ありが多いデータセットですが、OKは人物なし比率が他より高め(34.1%)という傾向が見えます。 ただしデータ数がまだ少ないため、断定できるほどの有意差とは言えません。 今後データが積み上がれば、人物あり・なしによる通過率の差が明確になってくるかもしれません。
OK画像とNG画像を比較してみる
実際に自分の眼でOK画像とNG画像を比較してみます。
下図はOKとなった画像サンプルです。

下図はNGとなった画像サンプルです。OK画像と同じ日に画像生成しているので、被写体の女性は似ている内容となっています。 正直、この画像サイズで見ただけではNG理由は分かりません。

しかしながら、拡大してみると素人目でもわかる部分があります。例えば、NG画像サンプルの一番左の画像は、明らかに耳がおかしいです。

NG画像サンプルの左から2番目は、肌感が明らかにAIっぽいのと目じりと歯の奥もおかしいです。

NG画像サンプルの一番右の画像は、歯が溶けています。

このように一見問題なさそうな画像も拡大することで分かる部分もあり、この部分は現在の品質スコアでは考慮できていないので、今後の課題です。
考察:スコアが高くてもNGになる理由
今回の分析で最も興味深い発見は、「品質NG画像の方がOK画像よりスコアが高い」という逆転現象でした。 これにはいくつかの考察ができます。
スコアが高くてもNGになる可能性のある理由
- Adobe Stockの審査基準は非公開:スコアで測れない「商業利用適性」「構図の自然さ」などを判定している可能性
- AI生成特有の不自然さ:シャープすぎる・ノイズが少なすぎるなど、「過補正」な画像がNGになるケースがある
- 審査基準が変動している:同じような画像でも時期によって通過率が違う印象がある(000記事参照)
- スコアの測定対象と審査対象のずれ:CLIPや中央シャープは技術的な品質の指標であり、「売れる素材かどうか」とは別軸
この謎を解明するには、さらなるデータ蓄積と、OKになった画像・NGになった画像それぞれの 特徴を定性的に分析していく必要があります。 今後はテーマ別・撮影設定別のNG率なども追いかけていきたいと考えています。
また、スコア判定(記事はコチラ)のやり方の再検討も視野に入れたいと考えています。。
今後の分析課題
- データ件数が増えた段階でのOK率の再集計
- テーマ・カテゴリ別のNG率分析
- CLIPスコアの閾値とOK率の相関確認
- 人物あり・なし別の通過率比較(統計的に有意な件数になったら)
- 季節・申請タイミングとOK率の関係
自動化の仕組みが整ったことで、データは毎日着実に積み上がっています。 「量が増えれば見えてくるものがある」と信じて、引き続き記録を続けていきます。
FAQ
Adobe Stockの審査通過率はどのくらいですか?
本記事の実データ(確定審査185件)では、OK率22.2%・NG率77.8%でした。 4件に3件以上がNGという厳しい結果です。手動削除・未審査を含む全件では約2.4%がOKです。
Adobe StockでNGになる理由で一番多いのは何ですか?
本データでは「品質の問題」が144件中94件(65%)で最多です。 次いで「アドビコレクションで類似するコンテンツ」が45件(31%)、「知的財産権の侵害」が5件(3%)でした。
品質スコアが高い画像は審査に通りやすいですか?
必ずしもそうとは言えません。今回のデータでは、品質NGになった画像の方がOK画像より 総合スコアや中央シャープネスの平均値が高いケースがありました。 スコアはあくまで参考指標であり、Adobeの審査基準はスコアだけでは説明できない部分があります。