ChatGPTやClaudeをはじめとする生成AIの普及で、文章作成が劇的に楽になりました。 しかしその裏側で、AI生成だと見抜かれることを避けたい、いわば「人間らしい自然な文章へ改善したい」というニーズが静かに広がっていると感じています。 わたし自身、自身が作成した記事がAI作成と勘違いされては困るという思いがあり、 今回はこの需要に応える無料ツール「AI文章チェッカー」を個人開発した記録を、企画段階から振り返ります。

なぜ「AI臭を消す」需要が生まれているのか

AIが普及すればするほど、逆説的に「AI製だとバレたくない」場面が増えています。具体的には次のような分野です。

  • 就職・採用:エントリーシートや志望動機文がAI生成だと見抜かれるリスク
  • コンテンツ発信:ブログやSNS投稿でAI臭がバレるとエンゲージメントが下がる
  • 学術・教育:AI検知ツールの普及で学生側に検知回避ニーズが発生
  • ビジネス文書:メールや提案書がAI丸投げだと誠意を疑われる

特に個人やフリーランスが文章でブランドを作っている場合、「自分らしい文体」を保ちながらAIの効率も使いたいという需要が強いと感じました。

個人開発で勝負できる領域を絞り込む

最初に検討したのは「AI検知回避サービス」でしたが、調べてみるとUndetectable.AIなど海外製の無料ヒューマナイザーがすでに多数存在していました。 既に存在するサービスを個人が低いサービスレベルで開発しても仕方ないと考えました。

そこで方針を転換し、日本語特有のAI臭パターンに特化することにしました。 海外ツールは翻訳経由の対応が多く、敬語のニュアンスや「〜となります」のような日本語特有の定型表現への対応が手薄だという仮説です。

10項目スコアリングの設計

コードを書く前に、まず「何を何点で測るか」を決めることを優先しました。ここを後から変えるとUI全体に影響するためです。 検討の結果、10点満点×10項目の構成にしました。20項目だと細かすぎて重複が生まれやすく、ユーザーが読み疲れると判断したためです。

採用した10項目

  1. 語尾の単調さ(「〜となります」の繰り返し)
  2. 冗長表現(「〜することが重要です」等の定型句)
  3. 具体性の欠如(固有名詞・数字の少なさ)
  4. 読点リズム(読点の打ち方が機械的に均一)
  5. 感情・温度感(書き手の熱量の有無)
  6. 文長の均一さ(文の長さが揃いすぎている)
  7. 接続詞の偏り(「また」「さらに」の多用)
  8. 構成の硬直性(結論→理由→まとめの機械的繰り返し)
  9. 敬語レベルの均一さ(敬語の揺れが全くない)
  10. 箇条書き依存度(本来文章で書ける内容の箇条書き化)

各項目を0〜10点でAIに評価させ、合計を100点満点のスコアとして表示する設計です。70点以上を「人間らしさ高」、40〜69点を「AI感やや残る」、0〜39点を「AI感強い」と3段階で判定しています。

完全無料で構築するという制約

個人開発でビジネス展開を見据える場合、最初の関門は「どのLLM APIを使うか」でした。 当初Claude APIでの実装を試みましたが、これは従量課金制で無料枠がありません。 代替としてGoogle Gemini APIも検討しましたが、2026年に入って無料枠が大幅に縮小されており(一部モデルで1日のリクエスト数が250回から20回に削減)、サービス公開を見据えると実用的ではありませんでした。

最終的に選んだのがGroq APIです。メール登録のみで取得でき、無料枠も比較的広く、レスポンスが非常に高速という特徴があります。 日本語の精度も実用レベルと判断し、これを採用することにしました。

// Groq APIの基本的な呼び出し構造(OpenAI互換エンドポイント)
fetch('https://api.groq.com/openai/v1/chat/completions', {
  method: 'POST',
  headers: {
    'Content-Type': 'application/json',
    'Authorization': 'Bearer ' + apiKey
  },
  body: JSON.stringify({
    model: 'llama-3.3-70b-versatile',
    max_tokens: 2048,
    stream: true,
    messages: [
      { role: 'system', content: systemPrompt },
      { role: 'user', content: userText }
    ]
  })
});

APIキーはサーバには保存せず、ブラウザのメモリ内でのみ扱う設計にしました。利用者自身がGroqの管理画面から取得したキーを画面上部に入力する形式です。 完全無料での運用を維持できる一方、APIキー管理の注意喚起はサービスとして必須だと感じています。

APIキーの取得もconsole.groq.comから簡単に取得できます。

groqのAPI作成画面

画面構成:翻訳サイト型UIを採用

UIの参考にしたのは、いわゆる「翻訳サイト」のレイアウトです。左側に原文を貼り付け、右側に変換結果が表示される、見慣れた構造を踏襲しました。 これに加えて、画面下部に改善前後のスコアを並べて表示するパネルを設け、ひと目で変化が分かるようにしています。

画面構成は大きく次の4段に分かれています。

  1. ツールバー(診断する・文章を改善する・クリア・ファイル選択)
  2. 文字数カウント・警告表示エリア
  3. 入力テキストエリアと改善結果表示エリア(左右並び)
  4. 診断スコア表示エリア(改善前・改善後を左右並び)

下図のようなイメージとなります。

ai_humanizerの操作画面

次回はGroq APIを使った実際のスコアリングロジックと、文章を自動で書き換える「ヒューマナイズ」処理の実装について解説します。

FAQ

「AI臭を消す」サービスはなぜ需要があるのですか?

AI生成文章が普及したことで、逆に「AI製だとバレたくない」というニーズが採用・教育・コンテンツ制作・ビジネス文書など幅広い分野で生まれています。AI検知ツールの普及がこのニーズをさらに後押ししています。

AI生成度を診断するのにどんな項目を使いましたか?

語尾の単調さ、冗長表現、具体性の欠如、読点リズム、感情・温度感、文長の均一さ、接続詞の偏り、構成の硬直性、敬語レベルの均一さ、箇条書き依存度の10項目を各10点満点で評価する設計にしました。

なぜGroq APIを選んだのですか?

完全無料での構築を前提としたためです。Claude APIやOpenAI APIは従量課金、Geminiも無料枠が大幅縮小されており、個人開発でサービス公開まで見据えると無料枠が実用的に使えるGroq APIが現実的な選択でした。