このシリーズについて
本記事は、ストックフォト審査関連の自動化に取り組んだシリーズ記事のまとめです。
ちょっとした副業としてAI画像生成+Adobe Stockへの投稿をはじめたのですが、 「この作業、毎回同じことやってる…」という繰り返し作業がどんどん積み上がっていきました。 エンジニアとして「自動化できるはずだ」という気持ちが抑えられず、気づけば自動化のための開発に時間を費やすという、 本末転倒気味な沼にハマっていました(笑)。
結果としては、かなりの工程を自動化することができました。 一方で、Adobe Stockという外部プラットフォームの仕様に振り回される部分も多く、 自動化が万能でないことも痛感しました。
この記事では、シリーズ全体の流れと成果、そして正直に感じている課題をまとめます。
自動化フロー全体図と各記事リンク
以下が、このシリーズで扱った自動化フローの全体図です。 各工程が手動・自動・目視確認のどれに該当するかを色分けしています。
上部のフロー表(シリーズ記事ナビ)が全工程の一覧です。各記事へのリンクも記事ナビからアクセスできます。
| 記事番号 | タイトル概要 | 公開日 |
|---|---|---|
| 001 | 全体概要・AI画像生成・Upscaylによる高解像度化(手動フロー解説) | 2026年5月22日 |
| 0011 | Upscayl高解像度化&リネームをbatファイルで完全自動化 | 2026年6月4日 |
| 002 | PythonとCLIPで品質スコアを自動算出・Excel記録 | 2026年5月26日 |
| 0021 | 解析ツール強化:AI-NGチェック・JSON設定管理・Google Colab対応 | 2026年5月30日 |
| 003 | OllamaでタイトルとキーワードをAI自動生成・Adobe Stock申請CSV出力 | 2026年5月31日 |
| 004 | Adobe Stock審査結果をChrome拡張+PythonでExcelに自動反映 | 2026年6月1日 |
| 005 | history CSV累積管理でOK漏れゼロ・STATUS追跡を完全自動化 | 2026年6月2日 |
| 000(本記事) | シリーズまとめ・自動化の成果・Adobe Stockの壁 | 2026年6月6日 |
自動化の成果:どれだけ楽になったか
自動化の前後で、人が直接作業する時間(人時間)がどう変わったかを振り返ります。
| 工程 | 自動化前の人時間 | 自動化後の人時間 | 主な変化 |
|---|---|---|---|
| 高解像度化・リネーム | 約2分(待ち+確認) | batを叩くだけ | ワンクリック化。ほぼゼロへ |
| 品質スコア算出 | 約10分(Colabアップ・起動) | bat起動のみ | ローカル化でアップロード不要に |
| AI-NGチェック(指・目・ロゴ) | 目視のため時間不定 | 自動判定(確信度スコア付き) | 見落とし削減・見る枚数が減少 |
| タイトル・キーワード付与 | 約15分(手入力) | Ollamaが自動生成 | CSV出力まで全自動 |
| 審査結果確認・Excel更新 | 約60分(目視+手入力) | Chrome拡張+Python自動突合 | ほぼゼロへ。OK漏れも解消 |
自動化前の人時間合計が約128分だったのに対し、自動化後は主要工程で大幅に削減できています。 かかった開発時間を考えると「本当に得だったのか?」と問われると微妙ではありますが(笑)、 毎日・定期的に繰り返す作業であることを考えると、長い目で見れば十分に元は取れます。
自動化してよかったこと
- 毎日の繰り返し作業が大幅に減った
- 手作業のミス(記入漏れ・OK見落とし)がなくなった
- データが蓄積されることで、傾向分析がしやすくなった
- 自動化そのものが技術的な学習になった
AIの得意なこと・不得意なこと
今回のシリーズを通じて、AIをツールとして活用する中でその「得意領域」と「苦手領域」をはっきり体感しました。
| カテゴリ | 得意なこと ✅ | 不得意なこと ❌ |
|---|---|---|
| 品質チェック | CLIPスコア・シャープネスなど数値化できる評価 | 「なんとなく違和感がある」の感覚的判断 |
| NGチェック | 明確な特徴(指が6本、ロゴが写っている)の検出 | 微妙な崩れ・文化的NG・審査基準の解釈 |
| メタデータ生成 | 画像からの英語タイトル・キーワード案の大量生成 | 審査基準に合った絶妙なキーワード選定 |
| 審査結果追跡 | 大量データの突合・STATUS管理・履歴蓄積 | なぜNGになったかの原因特定・改善提案 |
| 分析 | 集計・グラフ化・数値的な傾向の抽出 | データが少ない段階での信頼性ある分析 |
一言でまとめると、「ルールが明確で繰り返せる作業はAIが得意、曖昧な判断や文脈理解が必要な作業は人間が必要」ということです。 ストックフォト運用は特にその境界線が難しく、最終的な審査基準はAdobeが持っているため、 どれだけ自動化してもブラックボックスな部分は残ります。
Adobe Stockで困っていること
自動化とは別に、Adobe Stockというプラットフォームを使っていて正直に感じている「もどかしさ」を記録しておきます。 同じように運用している方の共感を呼べれば幸いです。
① 申請上限で新しい画像を出せないもどかしさ
Adobe Stockでは、審査待ち(EXAM)状態の画像が一定数を超えると、新規の審査申請ができなくなります。 手元には品質チェックを通過した画像が溜まっているのに、「EXAM枠が埋まっているから申請できない」という状況になることがあります。
特にタイムリーな季節素材(例:夏素材を夏の前に申請したい)は、タイミングがシビアです。 審査待ちが長引くほど、旬を逃すリスクが高まります。 もう少し申請枠を柔軟にしてほしい、というのが正直なところです。
現在の対応策
審査待ち(EXAM)の数を定期的にhistry CSV+Excelで把握し、申請タイミングをコントロールするようにしています。ただ、根本的な解決ではないため、枠が空くのを待つしかない場面もあります。
② 審査NGの基準が分からない
審査NGになっても、理由が具体的に明示されないことがほとんどです。 「フォーカスが甘い」「商業利用に不適切なコンテンツ」など大まかなカテゴリは示されることがありますが、 「なぜこの画像がNGで、あの画像はOKなのか」が分からないことが多いです。
同じようなテーマ・構図の画像でも、通る日と通らない日があったりして、 審査基準そのものが変動しているのでは?と感じることもあります。 history CSVで蓄積を続けているのも、この謎を少しでも解明したいからです。 ただ、まだデータが十分ではなく、今後の分析課題としています。
③ 緑丸が赤丸に変わってしまう問題
最後に、Adobe Stockを使っていて個人的に最も困惑した現象が、 一度販売OKになった(緑丸の)画像が、ある日突然赤丸(非アクティブ・販売停止)に変わることです。
原因として考えられるのは以下のようなものですが、明確な通知がなく原因がわからないことが多いです。
- Adobe側のコンテンツポリシー変更
- AI生成画像に対する規約の見直し
- 類似画像との重複判定
- その他不明な審査の再チェック
せっかく自動化で効率よくアップロードしても、過去のアセットが黙って非アクティブになっていると、 販売機会の損失につながります。これはプラットフォーム側の仕様であるため、こちらでどうにかできる問題ではありませんが、 定期的に緑丸→赤丸への変化を監視する仕組みも将来的には作りたいと考えています。
困っていること まとめ
- 📭 申請上限でタイムリーな投稿ができない
- ❓ 審査NGの具体的な理由が分からない
- 🔴 緑丸→赤丸への変化が通知なく発生する
いずれも「Adobe Stockというプラットフォームを使う限りは避けられない壁」でもあります。 同じように困っている方がいれば、ぜひ対策や情報を共有していただけると嬉しいです。
今後の課題:分析はこれから
フロー全体図の最後(STEP ⑤ 4-1d)に「履歴データ分析」という工程を置いていますが、 正直なところ、現時点ではまだ分析に足るデータが十分に蓄積できていません。
history CSVへのEXAM・OK・NG履歴の蓄積をはじめたばかりであり、 傾向をつかむにはもう少し時間をかけてデータを増やす必要があります。
今後やりたいこと
- NG率の高いテーマ・構図の傾向分析
- CLIPスコアと審査結果の相関を確認する
- AI-NGチェックの精度が実際の審査結果と合っているか検証
- 緑丸→赤丸の変化パターンを監視・記録
- 季節ごとの申請タイミングと通過率の関係
ある程度期間をおいてデータが蓄積されたら、改めて分析結果を記事にしたいと考えています。 自動化の「投資対効果」を数字で示せるようになるのが楽しみな反面、 Adobe Stockの審査基準がどこまで解明できるかは正直わかりません。 それでも記録し続けることに意味があると思っています。
FAQ
自動化にどれくらいの時間がかかりましたか?
自動化のための開発・試行錯誤にはかなりの時間を要しました。 しかし一度構築してしまえば、その後の繰り返し作業が大幅に削減されるため、長期的には十分に元が取れると感じています。 また、開発過程でPythonやAIツールへの理解も深まり、技術的な学習効果も大きかったです。
Adobe Stockの申請上限とはどういうことですか?
Adobe Stockでは一度に審査申請できる画像数に上限があります。 審査待ち(EXAM)の画像が多い状態では新たな申請ができず、 手元に良い画像があっても申請できないもどかしさがあります。
緑丸が赤丸に変わる問題とは何ですか?
Adobe Stock上でアップロード済みの画像が、ある時点から緑丸(販売中)から赤丸(非アクティブ)に変わることがあります。 原因が明示されないケースも多く、対応に困ることがある問題です。
AIはストックフォト審査のどこが得意でどこが不得意ですか?
AIはCLIPスコアやシャープネスなど数値化できる品質評価は得意です。 一方で、審査基準そのものの判断(なぜNGか)や、微妙な構図の良し悪し、文化的なコンテキストの判断は苦手な傾向があります。 AIは「ルールが明確な繰り返し作業」に強く、「曖昧な判断」は人間が補う必要があります。