「反抗期で会話が減った」「子供の自立をどう支えればいいか」と感じている親へ。本作は、子供との距離感に悩むすべての親にとって、ヒントになる一冊です。
著書紹介、概要
宮部 みゆき(みやべ みゆき)著書のソロモンの偽証は3部作の長編です。第I部:事件、第II部:決意、第III部:法廷となっているミステリーの集大成と呼べる作品だと思います。
概要は・・・・、
クリスマスの朝、城東第三中学校の校庭で一人の男子生徒・柏木卓也の遺体が発見されるところから物語は始まります。警察は早々に「飛び降り自殺」と断定しますが、後日、学校関係者のもとに「彼は殺された」と告発する謎の手紙が届きます。
告発状には、校内暴力の主犯格とされる生徒たちの名前が記されていました。これをきっかけに、SNSのない時代特有の濃密な悪意や疑念が、学校、家庭、そしてメディアを巻き込み、制御不能のパニックへと発展していきます。
大人たちが保身や混乱に明け暮れる中、一人の女子生徒・藤野涼子は、隠された真実を明らかにするために立ち上がります。
彼女が提案したのは、前代未聞の「校内裁判」。生徒自らが検事、弁護士、陪審員となり、学校という閉鎖空間で起きた事件の真相を裁く試みです。
他校から来た謎の弁護士助手・神原和彦の登場や、次々と暴かれる同級生たちの素顔。嘘と虚飾に塗り固められた「偽証」の連鎖を断ち切り、少年少女たちが最後に辿り着いた真実とは何だったのか。青春ミステリーの枠を超え、人間の本質を鋭く突く壮大な群像劇です。
一般的な感想
ミステリー好きの私としても、単なるミステリーに留まらない とそこまではすぐに言語化できました。事件の真相を追うスリルはもちろんありますが、それ以上に、『子供たち』登場人物一人ひとりが抱える「孤独」や「家族との不和」、 「他人には言えない卑怯な本音」が恐ろしいほど克明に描かれている点に感銘を受けました。「自分も中学時代にこんな息苦しさを感じていた」と、かつての自分を投影し、心を揺さぶられると思います。
また、『大人たち』も外せない視点があります。事なかれ主義の教師、子供を所有物のように扱う親、煽情的なメディア。彼らの醜態を目の当たりにするからこそ、逃げずに裁判という道を選んだ子供たちの潔さが、よりいっそう気高く、美しく感じられました。
最後、法廷ですべての「偽証」が剥がれ落ちたときに訪れるカタルシスは、他の作品では味わえないと思います。「長い物語だったけれど、読み終わるのが惜しい」――そう思わせてくれます。
思春期の子を持つ親の感想
この本を読み進めている時、長男14歳、次男6歳でした。長男とは距離感に悩む時期でもありました。干渉し過ぎず・・・ただ放置し過ぎることもできず。(高校受験もあるので)
本作は3部作になっていますが、これをあえて『親』、『子』という視点で考えてみます。
親側は、子供のことを思っての行動かも知れませんが、最初は【干渉】し過ぎ。それが【見守る】、【認める】へと変化していったと感じました。
子側は、最初はまだまだ子供だったのが、大人への階段を登り、一人立ちしていきます。それぞれ一人立ちの仕方は違いますが、自分で考え、自分で答えを出し、自分で行動を起こす・・・そう感じました。
親としては、子供はいつまで経っても子供。けれども子供も一人の人間。長男とはそう接しようと考えさせられた一冊でした。