ゴールデンウイークは読書が進みますね♪数冊読んで感じたことを書き記しておきます。

「人間の悪意ってここまで恐ろしいのか」――。 東野圭吾作品は多数読んでいますが、珍しく妙な疲労感が残る作品でした。

本作は派手なトリックや爽快な逆転劇よりも、 一人の人生が少しずつ壊されていく恐怖を、ひたすらリアルに描いていると感じました。 昭和の後半を歩んだ人であれば、なつかしく感じる場面もあるかも知れません。 個人的には「呪いの手紙」あったなぁ となつかしく感じました。 また、私だけかも知れませんが、東野圭吾さん作品の「白夜行」や宮部みゆきさん作品の「火車」を思い出しました。

著書紹介、概要

東野圭吾 著書の『殺人の門』は、 “殺意とは何か”をテーマにした心理サスペンス作品と考えます。

主人公・田島は、少年時代に倉持という同級生と出会います。

一見すると魅力的で、人当たりも良い倉持。しかし彼は、 他人を巧妙に操ることに異常な才能を持った人物でした。

田島は幼少期から大人になるまで、 倉持に騙され、裏切られ、利用され続けます。

金銭問題、女性問題、仕事、人間関係――。 人生の節目ごとに倉持が現れ、 そのたびに田島の人生は壊れていきます。

そして田島は何度も思うのです。 「こいつを殺したい」と。

しかし、人はそう簡単に人を殺せない。 憎悪は積み重なっていくのに、 最後の一線だけはなかなか越えられない。

本作は、 “殺人事件そのもの”よりも、 「人が殺意へ至る過程」を延々と描く異色の作品です。

一般的な感想

東野圭吾作品は読みやすい作品が多いですが、 本作はかなり重い部類に入ると思います。

読んでいて爽快感はほとんどありません。 むしろ「またか……」、「おいおい……」という感情が積み重なっていきます。

しかし、その積み重ねが異常にリアルでした。

倉持という人物は、 殺人鬼のような悪ではありません。 現実世界に本当に存在しそうな(私の周りにもいますw)、 “人を不幸にするタイプの人間”として描かれています。

だからこそ恐ろしい。それこそが恐ろしい。

「悪人」というより、 “他人の人生を壊すことに罪悪感がない人間”。 そのリアリティが強烈でした。

また主人公・田島も、 完全な善人ではありません。 弱さや優柔不断さがあり、 だからこそ倉持に巻き込まれていく。

読者としては、 「逃げろよ」と思う場面も多々あります。 しかし実際の人間関係を振り返ると、 簡単には切れないものだと同調してしまう部分も多々あります。

個人的な感想「殺意」が生まれる過程の恐怖

個人的に殺人というものは、突発的殺人と計画的殺人だと考えています。 もちろん経験がないので、それ以外にもあるのかも知れませんが。 この本は、計画的殺人に重きをおいているなと感じた部分は、 「人は突然殺意を持つわけではない」 という部分でした。

小さな裏切り。 小さな屈辱。 小さな絶望。

それらが何年も積み重なった結果、 「もう殺すしかない」 という感情に変わっていく。

本作はその過程を、 非常に地味に、しかし執拗に描いています。

だから読後、 「犯人は誰だったのか」よりも、 「人間関係って怖いな……」という感情が残りました。

また、 “悪意ある人間に関わってしまった時、 人生はどこまで壊されるのか” というテーマも強烈です。

SNS時代の今だからこそ、 人間関係の距離感や、 「危険な人間から離れる重要性」を考えさせられる作品でした。

東野圭吾作品の中でも、 読後感はかなり重い部類です。 しかし、人間心理をここまでリアルに描いた作品はないと思います。 何故この本が面白いのか、何故こんなにも早く読み進めてしまう中毒性があったのか…それは読んでみたら分かると思います。