ゴールデンウイーク中に何冊か読んでいたのですが、今回は東野圭吾さんの“雪山シリーズ”っぽい2作品(時期外れ?)をまとめて書いてみます。
『白銀ジャック』『疾風ロンド』――どちらも「雪山」「スキー場」を舞台にした作品ですが、雰囲気はかなり違います。
ただ共通しているのは、とにかく読みやすく、作品に引き込まれやすかったです。
冬山の冷たい空気感やスピード感が、読んでいて非常に気持ちいい作品でした。
著書紹介、概要
『白銀ジャック』は、スキー場に脅迫状が届くところから始まります。
「ゲレンデで爆破を行う」という犯人からの脅迫。
しかしスキー場側は、営業停止による損害や客離れを恐れ、全面閉鎖を決断できません。
年末の繁忙期、多くの客が訪れる中で、「本当に爆弾はあるのか?」「犯人は誰なのか?」というサスペンスが展開していきます。
一方、『疾風ロンド』はかなり毛色が違います。
違法研究の生物兵器が盗まれ、その隠し場所が分からなくなるところからスタート。
しかも、その在処を知っている人物が事故死してしまう。
残された手掛かりを頼りに、スキー場で“危険物”を探すことになるのですが……。
こちらはサスペンスというより、かなりエンタメ寄りで、コミカルさも強めでした。
登場人物は数人被っていますので、『白銀ジャック』→『疾風ロンド』と読み進めると良いですね。
白銀ジャックの感想
『白銀ジャック』は、とにかく緊張感が強い作品でした。
スキー場という開放的な場所なのに、「どこに爆弾があるか分からない」という状況だけで一気に閉塞感が出ます。
しかも、滑っている客たちは危険を知らない。
運営側だけが焦り続ける構図が非常に面白かったです。
また、東野圭吾作品らしく、「誰が怪しいのか」が絶妙に揺れ続けます。
登場人物も多すぎず、非常に読みやすい。
個人的には、「雪山」という舞台設定がかなり効いていたと思います。
吹雪、視界不良、リフト、コース封鎖――ゲレンデならではの状況です。
普通の街中ミステリーでは作れない緊張感がありました。
疾風ロンドの感想
『疾風ロンド』は、『白銀ジャック』とは異なりかなり軽快でした。
もちろん「危険物を探す」という設定自体は『白銀ジャック』と同様に重いのですが、登場人物たちがどこか抜けていて、いい意味で肩の力を抜いて読めます。
高校生たちが非常にいい味出しています。
特に中盤以降は、「大丈夫かこの人たち(笑)」という場面も結構あります。
東野圭吾作品ってシリアスな印象が強いですが、こういうエンタメ寄り作品も上手いんだなと感じました。
個人的な感想 「雪山」という舞台を選んだ東野圭吾さんに感服
この2作品はちょっとした続き物になっていて、登場人物は数人被っています。『白銀ジャック』→『疾風ロンド』と読み進めると良いですね。
私は本当に偶然この順番で読んだので(いつ購入したかは覚えていない)、逆じゃなくて良かったと思った次第です。
2作品を続けて読んで感じたのは、「雪山」という舞台を選びつつ、単なる殺人ミステリーではない…東野圭吾さんに感服です。
雪は足跡を残します。
逆に吹雪けば証拠も消える。
移動手段も限られ、閉鎖空間にもなりやすい。
さらに、冬山特有の静けさや緊張感がある。
つまり、サスペンスとの相性が非常にいいんですよね。他の雪山ベースの本を読んでいないからか非常に新鮮でなるほど!と感じました。
それが2作品ともに没入感を高めてくれました。
『白銀ジャック』はサスペンス寄り、『疾風ロンド』はエンタメ寄り。
同じ雪山でも、ここまで違う味を出せるのは面白かったです。