2025年から2026年にかけて、日本各地で移民・外国人に絡む事件・トラブル・政策論争が相次いだ。本記事では、この約1年間に報じられた主要な案件を50件にわたって時系列で網羅する。個別事件から制度問題、政治的動向まで多角的に整理することで、「このままでは問題だ」という現状の全体像を浮かび上がらせる。
日本に何が起きているのか ― 数字で見る現状
2025年6月末時点の在留外国人数は395万6,619人と過去最高を更新した。2024年だけで住民登録外国人が36万人増加しており、現在のペースが続けば2040年代に総人口の10%を外国人が占める計算だ。一方、2025年に退去強制手続きが取られた不法就労外国人は1万3,435人、技能実習生の失踪者は年間9,800人超にのぼる。改正入管法が2024年6月に施行されたものの、難民認定審査・強制送還・共生施策のすべてで課題は山積している。
2025〜2026年 移民・外国人問題 重大50件 時系列一覧
★マークは特に報道量・社会的注目度が高かった案件を示す。色分けラベルの意味は以下の通り。
| No. | 時期 | 都道府県 | 概要 |
|---|---|---|---|
| ▼ 2025年前半(1〜6月) | |||
| 1 | 2025年1月 | 全国 | 外国籍住民比率が10%超の自治体が全国27に達したことが判明。外国人出生数は約2万3,000人で10年前の1.5倍に増加。「事実上の移民社会化」が数字で証明される形に。政策 |
| 2 | 2025年1月 | 埼玉県 川口市 |
川口市の外国人住民が48,161人(市民の7.93%)となり、118カ国の外国人が居住することが住民基本台帳データで明らかに。中国人25,819人が最多でクルド系多数のトルコ人は1,513人。政策 |
| 3 | 2025年1月 | 埼玉県 川口市 |
川口市でトルコ国籍の男性が40代日本人女性への性的暴行容疑で逮捕。後に不起訴処分となりSNSで「外国人不起訴問題」として拡散。司法への不信感が高まる。犯罪 ★注目高 |
| 4 | 2025年2〜3月 | 全国 | 書籍『移民リスク』(新潮新書)が発売されベストセラーに。川口クルド人問題・入管の実態・ドイツの移民失敗事例を論じた内容がメディアで多数取り上げられ、移民問題への関心が急上昇。★注目高 |
| 5 | 2025年3月 | 神奈川県 横浜市 |
横浜税関が麻薬(ケタミン・覚醒剤)の密輸入事件を摘発し外国人犯則嫌疑者1名を横浜地検に告発。国際郵便・スーツケース隠匿など手口の巧妙化が確認される。犯罪 |
| 6 | 2025年3月 | 茨城県 | 入管庁が2024年の退去強制手続き実績を公表。不法就労外国人は14,453人で茨城県が3,452人と3年連続全国最多。農業分野での不法就労が産業全体で常態化している実態が判明。政策 |
| 7 | 2025年4〜5月 | 埼玉県 川口市 |
国会議員らが川口市を相次いで視察しクルド人を「偽装難民」「不法滞在者」と断定する発言が続出。難民支援協会・弁護士団体が「一括りにすることは不適切」と反論し論争が拡大。★注目高 |
| 8 | 2025年5月 | 埼玉県 深谷市 |
野菜加工・販売会社「ベジミール」社長ら2人が入管法違反で逮捕。「技術・人文知識・国際業務」在留資格の外国人を資格外の野菜加工現場で違法就労させていた。犯罪 |
| 9 | 2025年5月 | 埼玉県 川口市 |
川口市周辺の解体業者の約7割が中東系(多くがクルド系)に変わり1年で40社増の170社に急増。民家廃材をその場に不法埋設したとして4人逮捕。廃棄物処理秩序の崩壊が明らかに。犯罪 ★注目高 |
| 10 | 2025年5月 | 全国 | クルド人労働者党(PKK)が武装解除・解散を宣言。在日クルド人の難民認定根拠が失われたとして日本政府が審査のさらなる厳格化を検討。クルド問題の構図が大きく変わる転換点となる。政策 |
| 11 | 2025年5月 | 全国 | 政府(入管庁)が「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」を発表。2030年末までに不法滞在者を半減させる目標を掲げ電子渡航認証・強制送還促進などを柱とする。日弁連が強く反対。政策 ★注目高 |
| 12 | 2025年5月 | 大阪府 大阪市 |
大阪公立大学の学長が中国駐大阪総領事と会談し「中国大学との交流強化」を宣言。中国出身教職員・留学生との懇親会も開催され、安全保障上の懸念を指摘する声がSNSで拡散。 |
| 13 | 2025年6月 | 東京都 | 東京地裁が入管施設における外国人2人の長期収容の一部を「恣意的拘禁」と認定し国に損害賠償を命令。入管行政の国際人権法違反が司法で初めて明確に認定される歴史的判決。政策 |
| 14 | 2025年6月 | 全国 | 骨太方針2025が閣議決定。外国人との秩序ある共生社会の実現に向けて出入国在留管理・社会保障制度等の適正化方針を掲げ、外国人政策の司令塔整備を明記する。政策 |
| ▼ 2025年後半(7〜12月) | |||
| 15 | 2025年7月8日 | 千葉県 成田市 |
川口市在住のクルド人男性(34歳)が成田空港からトルコへ強制送還。6回の難民申請を繰り返し約20年間不法滞在。送還時に大声で暴れ機内で抵抗。改正入管法の実効性が証明された事例として注目。犯罪 ★注目高 |
| 16 | 2025年7月20日 | 全国 | 参議院選挙で「外国人政策」が主要争点に急浮上。参政党・日本保守党が外国人の不動産購入規制・社会保護制度改革を訴え、与野党が一斉に外国人対策を競い合う異例の選挙戦となる。政策 ★注目高 |
| 17 | 2025年7月 | 全国 | 警察庁が2024年の来日外国人刑法犯6,368人を公表。うち技能実習生・元実習生が986人でベトナム人647人が外国人刑法犯の約10%を占める。「ボドイ」呼ばれる失踪後犯罪組織との関連も指摘。政策 |
| 18 | 2025年7月 | 全国 | 日弁連が「不法滞在者ゼロプラン」に反対する会長声明を発表。「保護されるべき外国人までも排除しかねず国際人権法に反する」と主張。難民認定制度の根本的見直しを求める。政策 |
| 19 | 2025年7月 | 全国 | 内閣官房に「外国人との秩序ある共生社会推進室」を設置。出入国管理の適正化・社会保険料未納防止・外国人による土地取得規制などに省庁横断で取り組む体制が整備される。政策 |
| 20 | 2025年7月 | 佐賀県 伊万里市 |
伊万里市の民家で母娘が死傷した強盗殺人事件でベトナム国籍の技能実習生(24歳)が逮捕。日本語片言・同国人と同居という「社会内社会」状態が浮き彫りに。技能実習制度への批判が再燃。犯罪 ★注目高 |
| 21 | 2025年7月 | 全国 | NHKが「外国人増加で治安が、賃金が……広がる情報を検証 誤りも」を放送。外国人犯罪に関するSNS上の誤情報・偏見の検証報道が大きな反響を呼ぶ。エビデンスに基づく議論の重要性が再認識される。政策 |
| 22 | 2025年7月 | 全国 | アムネスティ・インターナショナル日本が「入管ゼロプラン」への反対声明を発表。難民申請者を含む保護すべき人々が排除されかねないとして国際人権法に基づく制度改革を要求。政策 |
| 23 | 2025年8〜9月 | 徳島県 ほか全国 |
関西テレビが「技能実習制度の闇」を緊急取材・放送。悪質ブローカーによる誘引・職場いじめによる逃亡実態を報道。2024年の外国人失踪者は6,500人超と過去最高水準に達したことも判明。★注目高 |
| 24 | 2025年9月 | 埼玉県 川口市 |
東京都議会自民党が川口市を視察。川口市の人口約61万人のうち外国人が5万人超(市民の約12人に1人)。「仮放免」状態の外国人が就労・医療保険・移動を制限された状態で多数潜在することが確認される。 |
| 25 | 2025年9月 | 全国 | 在留外国人統計で技能実習生45万6,595人のうちベトナム人が21万2,141人(約46%)を占めることが明らかに。実習生の「社会内社会」化現象・日本語不習得問題が指摘される。政策 |
| 26 | 2025年10月 | 大阪府 関西空港 |
タイから到着したベトナム人旅客2名が覚醒剤などをスーツケースに隠匿して密輸入しようとしたとして関西空港税関が摘発。乾燥食品で包み真空パックにする巧妙な手口が確認される。犯罪 |
| 27 | 2025年10月 | 全国 | 入管庁が2025年7月現在の不法残留者数を公表。「ゼロプラン」施行後も依然として多数の不法残留者が確認されており、目標達成に向けた実効性への疑問が政治・メディアから相次ぐ。政策 |
| 28 | 2025年10〜11月 | 全国 (首都圏中心) |
短期滞在外国人による特殊詐欺への関与が2025年1〜10月で59人(前年同期比約3倍)に急増。中国系「匿名・流動型犯罪グループ(匿流)」が受け子を来日・帰国させる「ヒットアンドアウェー型」を繰り返している疑いがある。犯罪 ★注目高 |
| 29 | 2025年11月 | 大阪府 八尾市 |
大阪府八尾市のゴミ収集会社で在留資格のないベトナム人3人を違法就労させたとして逮捕。「給料が安くて前職を逃げ出した」と供述。悪質ブローカーの斡旋が背景にあると判明。犯罪 |
| 30 | 2025年11月 | 兵庫県 神戸市 |
神戸市でベトナム人に資格外の美容師業務をさせていたとして男女3人が逮捕。不法就労ブローカーが美容・サービス業にも浸透していることが表面化する。犯罪 |
| 31 | 2025年11月 | 全国 | 高市政権が関係閣僚会議で「外国人との秩序ある共生社会の実現について」と題する首相指示を発表。不法滞在者ゼロプラン推進・在留資格審査厳格化・外国人犯罪対策強化などを指示。政策 |
| 32 | 2025年11月 | 栃木県 足利市 |
足利市で外国人関連の大麻密輸入事件が摘発。ベトナムから国際郵便を使った薬物密輸ルートが確認される。年間を通じて各地の税関での摘発が続いた。犯罪 |
| 33 | 2025年12月 | 長崎県 | 7年前に技能実習生として来日したベトナム国籍の男が不法残留容疑で逮捕。「日本で金を稼ぎたかった」と供述。実習終了後も滞在し続けるケースが全国で多発していることが改めて確認される。犯罪 |
| 34 | 2025年12月 | 香川県 三豊市 |
フィリピン国籍の女性が生活保護費を約423万円にわたり不正受給していたとして逮捕。数年間にわたる虚偽申告を続けた手口が判明。外国人の生活保護不正受給問題が改めて注目される。犯罪 |
| 35 | 2025年12月 | 全国 | 国連人種差別撤廃委員会と移住労働者権利委員会が「外国人排斥根絶のためのガイドライン」を発出。日本の入管行政・茨城県通報制度などに対して国際社会からの批判が相次ぐ。政策 |
| 36 | 2025年12月 | 全国 | 経団連が「転換期における外国人政策のあり方」を発表。エビデンスに基づく制度の適正化と中長期的な社会統合の必要性を訴えるが、受け入れ上限論・移民政策の明確化には踏み込まず。政策 |
| 37 | 2025年12月 | 全国 | アムネスティが「生命の危機にあるムスタファ・カリルさんの強制送還を直ちに停止せよ」との公開書簡を発表。難民認定のあり方をめぐる議論が年末にかけても収束しないことが明らかに。政策 |
| ▼ 2026年(1〜4月) | |||
| 38 | 2026年1月 | 茨城県 | 茨城県の大井川知事が不法就労外国人への「通報報奨金制度」を都道府県で初めて導入する方針を発表。3年連続不法就労全国最多という背景があるが人権団体・弁護士会が「密告社会化」として猛反発。政策 ★注目高 |
| 39 | 2026年1月 | 全国 | 政府が外国人政策に関する「基本的な方向性」をとりまとめる方針を示す。しかし「移民政策」という言葉は使わず、公式には「労働力補完」の立場を維持し続けることへの批判が強まる。政策 |
| 40 | 2026年1月 | 全国 (首都圏中心) |
短期滞在外国人による特殊詐欺「ヒットアンドアウェー型」の摘発が前年比3倍との警察庁調査が公表。電子渡航認証制度の早期導入を求める声が与野党・メディアから相次ぐ。犯罪 ★注目高 |
| 41 | 2026年2月 | 茨城県 | 茨城県が通報報奨金制度を含む「外国人材適正雇用促進事業」(3,700万円)を新年度予算案に盛り込み予算成立。弁護士会・人権団体・アムネスティから「差別を助長」「住民を分断」との批判が続出。政策 ★注目高 |
| 42 | 2026年2月 | 全国 | 入管庁が2024年の強制送還者7,698人を公表。ベトナム人が3,123人(40.6%)で最多。また2025年の不法就労外国人は1万3,435人で茨城県が4年連続全国最多(3,518人)となる。政策 |
| 43 | 2026年2月 | 全国 | 2025年6月末時点の在留外国人数が395万6,619人と過去最高を更新したことが正式発表。総人口に占める外国人比率が3.1%に達し、一部自治体では10%超が定常化している現状が確認される。政策 |
| 44 | 2026年3月 | 茨城県 | アムネスティ・インターナショナル日本が茨城県の通報制度に公開書簡で抗議。茨城県弁護士会も「差別を助長し住民を分断する」として撤回を求める声明を発表。知事は「適切な制度」と反論。政策 |
| 45 | 2026年3月 | 全国 | 入管庁が2025年の難民認定者数を発表。日本の難民認定率は依然として先進国最低水準にとどまることが確認される。難民支援協会が「迅速化より公正さを」と見直しを求めるコメントを発表。政策 |
| 46 | 2026年3月 | 全国 | 「外国人の国保・生活保護優遇」デマがSNSで大規模拡散。厚生労働相が「外国人優遇はない」と公式否定するが誤情報は止まらず、排外主義的言説がXでトレンド入りを繰り返す異常事態に。★注目高 |
| 47 | 2026年3月 | 全国 | 2026年6月から在留カードとマイナンバーカードの一体化(「特定在留カード」)が開始される方針が確認される。在留外国人の利便性向上と不法滞在者摘発強化の両面が期待される。政策 |
| 48 | 2026年4月 | 茨城県 | 茨城県が通報報奨金制度の運用準備を続行。知事は「農業大国・茨城の不法就労対策」と強調するが2025年も不法就労者数全国最多の見込みが報じられ、制度の実効性への疑問は続く。政策 |
| 49 | 2026年4月 | 全国 | 2027年施行予定の「育成就労制度」(技能実習制度の後継)について転職要件・支援体制の詳細が明らかに。都市部への就労生集中・悪質ブローカーの流入を懸念する声が業界・研究者から上がる。政策 |
| 50 | 2026年4月 | 全国 | Newsweekなど複数の国際メディアが「日本は外国人が増え犯罪は減ったという現実がある一方で排外主義が強まっている」と報道。日本の外国人政策をめぐる国内外の視点の乖離が浮き彫りになる。★注目高 |
このままでは問題だ ― 構造的課題
① 難民申請制度の「抜け穴」が依然として残る
川口クルド人男性の事例(難民申請6回・20年在留)が象徴するように、改正入管法施行後も「送還停止効の例外」運用には課題が残る。認定されないとわかっていても申請を繰り返す「制度的長期滞在化」は、外国人本人にとっても地域住民にとっても不幸な結果をもたらしてきた。
② 不法就労の「雇う側」への対策が根本的に不十分
茨城県が通報報奨金制度に踏み切らざるを得なかった背景は、農業・建設・食品加工分野での不法就労が「常態化」しているという現実だ。雇用企業への摘発・罰則強化と合法的な外国人労働者確保の制度整備という両輪が揃っていない。
③ 技能実習生の失踪・犯罪化問題が深刻化
年間9,800人超の失踪者、そして失踪後に犯罪に手を染める「ボドイ」の存在は、技能実習・特定技能制度の根本的な欠陥を示している。佐賀・伊万里市の強盗殺人事件もこの流れの中にある。育成就労制度への移行が「名前を変えただけ」にならないかが問われている。
④ 「ヒットアンドアウェー型」外国人詐欺が新たな脅威に
短期滞在外国人が受け子として来日し詐欺を実行してすぐ帰国するパターンが約3倍増した。従来の在留管理では追いきれない国境をまたいだ流動型犯罪への対応が急務だ。
⑤ SNS上の誤情報・排外主義的言説の拡散
「外国人が生活保護・医療で優遇されている」という事実に反するデマがSNSで繰り返し拡散し政府が公式否定する事態が続いている。誤情報が排外主義的感情を煽り実際の政策議論を歪めるリスクは無視できない。
⑥ 「移民政策なき移民増加」という最大の矛盾
政府は依然として「移民政策はしていない」という建前を守りながら毎年36万人規模で在留外国人が増加している。明確な目標・上限・統合支援のない外国人増加は受け入れる側にも受け入れられる側にも不幸な結果を生む。
🔴 このままでは問題だ
50件に及ぶ事件・政策動向を一覧すると、日本社会が「外国人問題」と向き合うための制度的基盤が根本的に欠如していることは明白だ。難民認定・不法就労・技能実習・多文化共生・移民政策——どの領域でも問題は「なかったことにする」政治的姿勢によって先送りにされ続け、現場だけが疲弊している。外国人政策を「見えない化」したまま人口の3%を外国人が占める社会を運営しようとすること自体が、最大のリスクだ。
特に注目度が高かった5件の詳細記事
50件の中でも特にSNS・メディア・国会での注目度が突出していた5件については、別途詳細記事を用意しています。
📰 話題の5件 詳細記事を読む →まとめ
2025年から2026年にかけての50件の記録は、日本の移民・外国人問題が「一部地域の特殊な話」ではなく、北海道から佐賀まで全国に広がった構造的な社会問題であることを示している。犯罪・不法就労・難民制度・誤情報・政策論争が複雑に絡み合う中で、必要なのは感情的な排除でも現実を直視しない受け入れ論でもなく、「ルールを決め・守らせ・支援する」という体系的な移民政策の設計だ。日本社会全体でこの議論を始める時が、今まさに来ている。